スンナ派とシーア派の違いとは?関係や対立の原因を簡単解説

イスラム教の二大宗派であるスンナ派とシーア派。ニュースなどでよく耳にする言葉であり、中東情勢を理解するための基本知識ですが、「何が違うのかよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、2つの宗派の違いや関係性、対立の原因などをわかりやすく解説します。
スンナ派とシーア派って何が違うの?
イスラム教の創始者であり、神(アッラー)の預言者であるムハンマドの死後(632年)、イスラム教徒の共同体からシーア派が分離。残った多数派がスンナ派と呼ばれるようになりました。ここでは、スンナ派とシーア派の違いや、各宗派の特徴について簡単にご紹介します。
違いを簡単に表すと
スンナ派とシーア派の違いは、「ムハンマドの後継者を誰にすべきか」という考え方にあります。違いを簡単に表すと、ムハンマドの「言行理解」を重視し、それを正しく伝えられる人を後継者にすべきであると考えたのがスンナ派で、ムハンマドの「血統」にこだわったのがシーア派です。
その他、スンナ派とシーア派の主な違いを下記にまとめました。
スンナ派 | 比較項目 | シーア派 |
---|---|---|
約90% | 人口(イスラム教徒に占める割合) | 約10% |
コーランやハディース | 信仰の拠り所 | 血統を重視したイマーム |
禁止 | 偶像崇拝 | 寛容(イマームの霊廟) |
5回/日 | 礼拝の回数 | 3回/日 |
サウジアラビア | 中心国 | イラン |
メッカ・メディナ・エルサレム | 聖地 | 左記に加えイラン・イラクに多数 |
それぞれ簡単に解説していきます。
スンナ派とは
スンナ派は全イスラム教徒の約90%を占める多数派で、日本ではスンニ派(スンナの形容詞形)とも呼ばれています。スンナとは「慣習」を意味し、コーラン(イスラム教の聖典)やハディース(ムハンマドの言行を伝える書)に書かれていること、イスラムの慣習を重要視しています。そのため、後継者においても血筋にこだわらず、ムハンマドの言行を正しく理解する人がカリフ(イスラム教の最高指導者を表す称号)としてムハンマドの後継者になるべきだと考えています。
スンナ派の中心国はサウジアラビアで、人口の約85%をスンナ派が占めています。その他中東・南西アジア・中央アジア・東南アジア・北アフリカ・西アフリカ諸国などに広く分布。メッカを聖地とし、第2の聖地をマディーナ、第3の聖地をエルサレムとしています。その他、偶像(神をかたどり崇拝の対象とする像)は人間が作ったものであり神ではないという考え方から偶像崇拝を禁止し、礼拝の回数は5回/日とするなどの特徴があります。
シーア派とは
シーア派は、第4代カリフ(最高指導者)であるアリーの死後にイスラム教徒の共同体(ウンマ)から分離した宗派で、全イスラム教徒の約10%を占めています。
アリーとはムハンマドの従兄弟であり、後にムハンマドの養子となって彼の娘(ファーティマ)と結婚した人物です。シーア派では、アリーとその子孫だけをムハンマドの後継者と認め、イマーム(指導者)として忠誠を誓うべきであると考えています。そのため、シーア派では第4代以降のカリフを認めておらず、シーア・アリー(アリーの党派)という言葉からシーア派と呼ばれるようになりました。
シーア派は、イランを中心に西アジア全体に広がっています。シーア派が多い国には、イラン(人口の約90%)・イラク(約60%)・アゼルバイジャン(約70%)・バーレーン(約70%)などがあります。
シーア派では、歴代イマームの霊廟がある都市も聖地とするため、全イスラム教徒の聖地であるマッカ・メディナ・エルサレム以外にもイラン・イラクに多数聖地が存在します。また、スンナ派で禁止されている偶像崇拝にも寛容なほか、教義上、反体制的になりやすい傾向があり分裂(十二イマーム派・イスマーイール派など)を繰り返してきました。
スンナ派とシーア派の関係性は?
スンナ派・シーア派という言葉は、戦争関連のニュースでよく耳にします。そのため、2つの宗派は常に争っているイメージを持っている方も多いでしょう。そこで、スンナ派とシーア派の関係性についてご紹介します。
必ずしも対立しているわけではない
後継者問題によって分裂したスンナ派とシーア派ですが、宗教的に対立関係にあるわけではありません。どちらの宗派もお互いをイスラム教であると認めており、一方を正統、もう一方を異端とする考え方がないためです。信者たちは宗派に関係なく同じモスクで祈り、メッカ巡礼に出かけ、近所付き合いをして結婚することも。住民の暮らしレベルで見ると常に対立しているわけではないのです。
争いの原因になる例も
しかし、スンナ派・シーア派の間で確執や争いが生じているのは事実です。その原因には、中東地域の政治的な覇権争いや経済的な利害問題が深く関わっています。
例えば1980~88年に起こったイラン=イラク戦争は、イラン革命でシーア派政権が成立したイランの影響が自国に拡大するのを恐れたイラクのフセイン大統領(スンナ派指導者)が、イランに侵攻したことで始まりました。またそこには、ペルシア湾岸の油田地帯の領有権を巡る対立もあったと言われています。
また、現在進行中のシリアやイエメンの内戦でもイランはシーア派を、サウジアラビアはスンナ派を支援していることから中東の覇を競うイランとサウジアラビアの代理戦争であると言われています。
このように、表面的には宗教対立に見える争いも、その裏には自身の政権を維持・拡大するための覇権争いや、石油資源を巡る利害問題が複雑に絡み合っているのです。
宗教戦争で苦しむ人は世界中に
スンナ派とシーア派の間に激しい宗教的対立はないものの、政治的覇権や利権を守るための争いやテロ行為は現在でも続いています。また、シリアやイエメンの内戦にも、宗派間の争いが深く関係していることがわかりました。宗教戦争には、ほかにもパレスチナ問題・アフガニスタン紛争・イラク戦争などがあり、ロシアによるウクライナ侵攻の背景にも宗教問題が絡んでいると言われています。
・参考記事
宗教戦争とは?なぜ起こるのか原因を現代の事例と共に紹介
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