企業のESDとは?環境教育・SDGsとの関係とメリットを学ぶ
ESDという言葉を聞いたことはありますか。今後、企業が持続可能な経済活動をする上でなくてはならない概念として、国もESDを推進しています。
しかしながら、SDGs情報メディア「EARTH NOTE」が2023年に全国の男女500人に行ったアンケート調査 では、「ESDという言葉を聞いたことがない」と回答した人の割合が75%にも及びました。国で推進しているにも関わらず、まだまだ認知度は低いようです。
そこで今回は、ESDとは何なのか、環境教育やSDGsとの関係、企業がESDに取り組むメリットについて簡単に解説します。
企業も注目するESDとは?
ESDとはどのようなもので、なぜ企業が注目しているのでしょうか。ここでは、ESDの基本的な知識について学んでいきましょう。
ESDとは?
ESDとはEducation for Sustainable Developmentの頭文字を取った言葉で、「持続可能な開発のための教育」という意味があります。環境保全のみならず、人権や貧困などの人類の問題を解決につなげる、持続可能な開発を担う人材を育む教育です。
世界がSDGsの達成を掲げた2015年以降、家庭・学校・職場・地域など、あらゆる場でESDが取り入れられています。
ESDとSDGsの関係
SDGs(エス・ディー・ジーズ)はSustainable Development Goalsの略称で、「持続可能な開発目標」という意味です。2015年9月に国連加盟国193カ国が、全17のゴールを2030年までに達成することを目指しています。
17のゴールでは、貧困・飢餓・教育・ジェンダー平等・働きがい・生物多様性などの人類の問題の解決を掲げています。もはや「SDGsの目標達成のためにはESDが必要不可欠」と言えるほど、2つは密接に関係しているのです。
世界全体でSDGsの達成を目指す中、社会へ大きな影響を与える企業の協力は必須といえます。2021年には環境省が「持続可能な開発のための教育(ESD)に関する実施計画」を策定し、企業のESDへの取り組みを促しています。
ESDと環境教育の違い
ESDと環境教育は、「学ぶ対象の範囲と目的」に違いがあります。
環境教育とは「人類の活動が地球環境へ与える影響について学び、地球環境を守るために必要な取り組みについて考え行動できる人材を育む教育」のことです。つまり、環境保全を目的とした教育といえます。
その一方で、ESDは地球環境を守ることだけが目的ではありません。SDGsで掲げる17のゴールのような人類の幅広い問題について学び、持続可能な社会を担う人材を育みます。つまり、ESDは「環境教育を発展させた教育」として位置づけられています。
しかし、現在では「環境教育=ESD」のように認識されるようになりました。その理由は、環境教育の目的が歴史とともに変化したためです。
自然保護を目的として、1975年に環境教育の国際的な枠組みがつくられました。
しかし、自然環境の悪化に伴い、1990年には自然保護のみならず環境問題にも注目が集まり、持続可能な開発が重視されるようになります。
このような時代の流れにより、1997年には環境教育の目的が「環境保全+持続可能な開発のための教育」に変化。現在では、環境教育とESDはほぼ同義のものとして認識されるようになったのです。
企業がESDに取り組むメリットとは
企業がESDに取り組むことで、持続可能な社会の実現に近づくことが期待できます。また、企業にも次のようなメリットをもたらす可能性があるのです。
- 企業価値の向上
- 環境コンプライアンスの向上
- コスト削減
ESDを企業が行うと「環境に配慮した経営を行う企業」として社会に認識され、企業イメージが向上しやすくなります。すると、消費者から自社製品やサービスが選ばれやすくなったり、融資を受けやすくなったり、企業に優秀な人材が訪れるようになったりなど、さまざまなメリットを受けられる可能性が高まります。
また、ESDにより従業員が国内外の環境関連法規の知識を深めれば、自社の環境コンプライアンスの向上にもつながります。さらに、環境問題への意識が高まり、従業員は節電・コピー用紙の削減・フードロス削減などの具体的な行動をとるようになります。その結果、企業のコスト削減効果も期待できるのです。
企業がESDに取り組むなら
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