【簡単解説】アラブの春とは?原因や経緯を分かりやすく紹介

2010年からアラブ諸国で起こった「アラブの春」。チュニジアで起きた事件をきっかけに、中東地域から北アフリカの国々に広がった民主化運動の総称です。この運動により、一時はアラブ諸国の民主化が期待されるもあえなく挫折。現在の難民・移民問題や内戦が続く原因のひとつとなっています。
本記事ではそんなアラブの春のきっかけや経緯をわかりやすくご紹介します。
アラブの春とは?経緯を分かりやすく解説
アラブの春は、2010年~12年にかけてアラブ諸国(※)で発生した民主化運動の総称です。運動が起こったきっかけやアラブ諸国に波及した背景、その後の影響についてわかりやすく解説します。
(※)アラビア語を母国語とするアラブ人が多く暮らす国々(中東地域~北アフリカを含む)を指す。
発端はチュニジアの青年による焼身自殺
アラブの春のきっかけは、2010年12月にチュニジアで起こった青年の自殺事件です。当時失業中だった26歳の青年(ムハンマド・ブーアズィーズィー)は、家族を養うために野菜の路上販売を始めました。しかし、無許可であったため政府の女性職員が荷物を没収。父親を侮辱され暴行を受け、賄賂まで要求されました。少年はこれに抗議するために市庁舎前でガソリンをかぶって焼身自殺を図り、その後病院で死亡しました。
イスラム教では死後の復活を信じており、蘇るには肉体が必要であるという教えがあります。そのためこの焼死事件は、イスラム教徒の多いチュニジア全土に衝撃を与えました。
ジャスミン革命
この自殺事件の様子は、SNS(衛星テレビやインターネット)を通じてチュニジア全土に広がりました。その結果、若者層の低失業率や利権を独占する腐敗政治への不満が爆発。ベン=アリー政権への反政府運動が一気に活発化し、2011年1月3日には首都チュニスで民衆による大規模暴動が発生しました。
全国的なデモが頻発するなか、軍部が反政府側についたためベン=アリー大統領はサウジアラビアに亡命。民衆の力で23年に渡る独裁政権を打倒したこの革命は、チュニジアで最も一般的な花の名前をとりジャスミン革命と言われるようになりました。
アラブ諸国に影響が拡大
ジャスミン革命の成功や各地でのデモの様子はSNSを通じてアラブ諸国に広く知れ渡り、長期独裁政権に苦しむ周辺諸国でも連鎖的に反政府デモが起きていきました。
その結果、エジプトでは2011年2月に約30年間続いたムバーラク政権が崩壊。8月にはリビアで42年間続いたカダフィ政権が崩壊します。
イエメンでもサーレハ大統領が退陣し、2012年2月に新大統領が誕生しました。シリアでは民衆が蜂起するものの、ロシアの支援を受けたアサド大統領側が激しく反撃して深刻なシリア内戦が勃発。その他、バーレーン・オマーン・クウェート・ヨルダンなどでも大きな民主化運動がおこりました。
このように、チュニジアで起こった事件をきっかけに2010年~12年にアラブ諸国で起こった民主化運動と政治変動を総称し、「アラブの春」と呼びます。
挫折によって「アラブの冬」へ
アラブの春の発端となったチュニジアでは、ベン=アリー政権崩壊後に新憲法制定・議会選挙などの民主化が進みました。しかし、その他の国では民主化が順調に進むことはなく、独裁政権が退いたことでむしろ治安・経済が悪化していきます。
エジプトでは2013年6月、クーデターによって革命以前のような軍事政権が復活し市民の自由権が剥奪されました。リビア・イエメンでは、独裁政権が退いたことで部族・軍事組織間の対立が激化し内戦に突入。シリアではロシア・イランの支援を受けてアサド政権が抵抗し、内戦が長期化します。
これらのことからアラブ諸国の多くは民主化に挫折し、アラブの春をきっかけに史上最悪の事態に陥ったと評されます。2014年以降のこの状況は、アラブの春と対して「アラブの冬」と呼ばれるようになりました。
その後の影響
アラブの春と呼ばれる民主化運動に挫折したアラブ諸国では、以下のような事態を引き起こします。
- 内戦の激化
- 経済の後退
- 民族・宗教間の対立の激化
結果、多くの死者・難民を出すこととなりました。あるアメリカの大学では、2014年までにアラブの冬に関連して25万人以上が死亡し、数百万人が難民になったという研究結果を発表しています。
特にシリアでは10年以上におよぶ内戦により、難民数が世界一位に。現在でも500万人以上が国外避難を余儀なくされており(国内避難民:約720万人)、周辺国への難民・移民問題や人道支援の必要性が世界的な課題となっています。
(数値参照元:2024年2月時点、UNHCRより)。
また、アラブの春による混乱は、ISIL(略称IS)の勢力拡大にも深く関わっています。ISILとは、イスラム国の樹立を目的とするイスラム過激派テロ組織で、もともとは戦争で弱体化したイラク内で勢力を強めていました。しかし、シリアで内戦が長期するとその混沌状態に乗じてシリアに侵入。2013年にはシリア北部のラッカを首都として周辺地域を実力支配します。
その後2017年、シリア民主軍がアメリカ支援のもとラッカを奪還しISILの勢力は弱くなりましたが、現在でもシリア・イラク両国に残りテロ行為を繰り返しています。
アラブの春の他にもたくさんの問題が
アラブの春は、一般市民の行動により長期政権を次々に崩壊させた民主運動として世界的に注目されました。しかし、独裁政治が退いたことで宗教・部族間、反政府派、テロ組織などによる紛争が相次ぎ、アラブ諸国に住む人々をさらに苦しめる結果につながりました。
またアラブ諸国には、ほかにもパレスチナ問題や水・石油資源を巡る紛争など、たくさんの問題が存在しており世界的な人道支援を必要としている地域です。
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