社会問題
2021/4/23

途上国のトイレ問題!多くの影響や普及のための支援とは

私たちの生活にとって必需品と言えるものの1つがトイレです。私たちは当たり前のようにトイレを使っていますが、世界的に見れば決してそうとは言えません。

特に発展途上国と言われる国々では、十分にトイレが整備されていないために、多くの問題が発生しています。途上国などトイレが十分に利用できない国々が抱える問題や、それに対する取り組みをご紹介します。

途上国のトイレ問題

世界のトイレ普及率は、徐々に増加しています。2000年の時点で、排せつ物を衛生的に処理・管理できる、基本的なトイレを使える人の割合は、世界人口のわずか56%でした。それが、2017年の時点では74%まで上昇しています。

しかしそれは、未だに26%にあたる約20憶人が、基本的なトイレを使用できていない状況だと言えるのです。2019年の時点でも、6億7,300万人が屋外で排せつし、特に後発開発途上国と言われる国々に、そういった状況が多いと言われています。

他にも、7億100万人がバケツに排せつして外に捨てるトイレ、池や川の上に設置され排せつ物をそのまま流すタイプのトイレを利用しています。衛生的なトイレを満足に利用できない状況は、私たちが思っている以上に多くの問題につながります。

途上国が抱えるトイレ問題とは、どのような影響を及ぼすのでしょうか。

トイレ問題による途上国への影響

トイレがないことで引き起こされる問題を確認してみましょう。

感染症や病気の危険性

トイレがないことで、感染症や病気になってしまう恐れがあります。屋外排せつによって、人糞に含まれる細菌が体内に侵入してしまい、下痢などの病気を引き起こします。それが原因で脱水症状に陥ることもあり、2015年の時点では下痢によって命を落とす子どもは1日に800人と言われていました。

女の子は学校を休むことに

トイレを満足に利用できない地域では、それが原因で女の子が学校をやめてしまうことも珍しくありません。用を足している姿を見られることに抵抗があることはもちろん、思春期を迎えた女の子は、トイレがないことを理由に学校を休むことも増えます。調査によると、アフリカの女の子の10人に1人は、生理中に学校を休む、もしくは退学してしまうと言われています。

貧困の原因にも関係する

トイレがないことで不衛生な環境が広がってしまいます。その環境によって、頻繁に病気にかかってしまったら、生産的な仕事を続けることが難しくなります。それにより、安定した収入の確保が難しくなり、貧困から抜け出せなくなってしまうのです。

経済にも悪影響をもたらす

トイレの不足は国全体の経済にも影響をもたらします。病気が原因による保健医療費の支出、生産力の低下などにより、結果的に国はGDPを低下させてしまいます。衛生的なトイレがあるかどうかは、都市や国の繁栄に関わる大きな問題なのです。

人の尊厳を傷付ける

女の子に限らず、用を足している姿を他人に見られてしまうのは抵抗があることです。そして、その姿を見られることは、人としての尊厳を傷付けられることだと言えます。衛生的に利用できるトイレが充実していることは、人の尊厳を守ることにもつながるのです。

途上国でトイレが使われるための支援

このようなトイレの問題に対し、多くの機関が取り組みを行っています。その代表とも言えるケースが、2001年11月19日に世界トイレ機関の設立です。世界トイレ機関は、毎年11月19日を「世界トイレの日(World Toilet Day)」と定め、世界中の衛生状況の改善に取り組んでいます。

他にも、国際機関や人道支援を行うNPO・NGOなどの様々な組織がトイレ問題を解決するための取り組みを行っています。トイレを設置するだけでなく、トイレの作り方を指導、材料の提出や、衛生に関する知識の普及も進められているのです。

また、2015年9月の国連総会によって定められた、SDGs(持続可能な開発目標)の目標6のターゲット2には「すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす」と記されています。SDGsは2030年までに国連加盟193ヵ国が達成すべき目標です。それまでに、世界中の人たちが満足にトイレを利用できるようになることが期待されています。

途上国のトイレ問題のためにできること

途上国のような国々が抱えるトイレの問題に対し、私たちは何かできることがあるのでしょうか。

先程も触れたように、トイレの問題を解決するために多くの機関が取り組みを行っています。実際に活動することは難しいことですが、これらの機関に寄付することで間接的に協力が可能です。

また、不用品回収サービス「もったいない運送」は、利用するだけで途上国の支援につながります。もし、不用品が出てしまったときや、途上国への支援に興味がある、という方は、ぜひもったいない運送のサービス内容だけでも確認してみてください。

 

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