貧困問題とは?原因や貧困の定義を分かりやすく解説
世界には、生きるために必要な最低限の生活ができない「極限の貧困」に苦しむ人が多く存在します。貧困問題は主に途上国で深刻化しており、私たちにとっては身近に感じにくい話題かもしれません。しかし現在、貧困問題はSDGsの1番目の目標としても掲げられ世界中で取り組むべき課題の1つとなっています。
そこで今回は、そもそも貧困とはどのような状態を指すのか、またなぜ起こるのかなどその定義や原因について詳しく解説していきます。私たちが気軽に貢献できる方法もご紹介していますので参考にしてください。
貧困問題とは?定義はあるのか
一口に貧困と言っても、国や団体によりその定義は異なります。貧困問題を考えるときによく使われる貧困の定義を2種類ご紹介します。
国際貧困ライン
国際貧困ラインとは、世界銀行が設定した貧困のボーダーラインです。国や地域に関係ない国際的な基準のため、SDGs(持続可能な開発目標)での貧困の定義としても使われます。
2024年現在では国際貧困ラインを1日2.15ドルとし、衣食住など生活に欠かせない全てのものを含み1日2.15ドル未満で暮らす状態を「極度の貧困」と定義。人間らしく生きるための最低水準が満たされていないため「絶対的貧困」とも呼ばれます。2019年には世界で約6億4,800万の人々がこれに該当し、85%以上が南アジアやサブサハラ・アフリカなどの途上国に存在します。
一方、住んでいる国や地域の大多数に比べて貧しい状態にあることを「相対的貧困」といいます。「絶対的貧困」が主に途上国の貧困問題を考える際に使われるのに対し、「相対的貧困」は先進国で使われることが多い用語です。
多次元貧困指数(MPI)
多次元貧困指数(MPI)とは、UNDP(国連開発計画)が発表する貧困の定義に使われる指標で、所得(お金)以外の貧困状態や内訳を把握できる特徴があります。
- 教育を受けていない
- 栄養が不足している
- 安全な水や電気を得られない
- テレビや冷蔵庫、車などを保有していない
など、健康・教育・生活水準に関する10項目のうち、少なくとも3分の1で欠乏状態にある人々を多次元貧困層と定義。2019年のグローバル多次元貧困指数(MPI)によると約13億人が多次元貧困状態に該当し、国際貧困ラインと同じく約85%が南アジアやサブサハラ・アフリカに存在します。
貧困問題の原因とは?代表的な例
貧困問題が起こる主な原因を3つご紹介します。また、途上国で貧困問題が特に深刻化する理由もあわせて解説しています。
紛争や内戦
国連開発計画(UNDP)の調査によると、紛争が続く国の貧困率はそれ以外の国の約3倍。紛争・内戦が貧困問題の大きな原因であることがわかります。紛争や内戦によりその土地に住む人々は家や農地、家畜などの資産や職を失います。難民となり避難しても、その後仕事に就くことは難しく、食料不足・教育不足・不衛生な生活を強いられ貧困状態が続きます。
貧困問題が深刻な途上国で紛争が多い理由には、先進国による植民地支配の歴史が大きく関わっています。例えばアフリカ諸国では、19世紀以降ヨーロッパ諸国により植民地化された際に民族・宗教を無視した国境線が引かれました。
そのため、独立後も異なる宗教・民族が同じ国に多数存在することになり、それが紛争を引き起こす大きな原因の1つとなっています。また、治安が悪化することで武装組織などテロの温床になるといった新たな紛争の原因も発生しています。
不安定な政治と汚職
国家の組織や制度が機能せず、正しい政治が行われないと貧困は加速します。例えば貧困問題が深刻な地域では、国民の不満から政権の信用が得られにくく不安定な情勢が続いたり、内戦により無政府状態が続いたりすることが多くあります。その結果、政策や制度が整わず、貧困層は自国からの支援を受けることが難しくなります。
また武力により勝ち取った独裁政治により、一部の権力者だけが恩恵を受ける不公平な制度ができたり、不正な選挙・公共資源の利用などの汚職が蔓延したりすることもよくあります。そのため、貧困層は自力で貧困から脱することが難しく、世代を超えた貧困の連鎖が生まれます。
自然災害
天候や地震などの自然災害が起こると、その土地に住む人々は家や職を失い貧困状態に陥ります。世界銀行の調査(2016年)では、自然災害により毎年2,600万人が貧困に陥ると言われています。特に近年では、世界的な気候変動により洪水や干ばつなどの自然災害が多発。農村部では十分な作物が取れず家畜が死ぬことで、食糧不足・収入減少による貧困化が進んでいます。
途上国の農業従事者はもともと貧困層であり、貯蓄がなく災害対策をする余裕がありません。また、途上国では災害の被災者を救済する制度や資金が不十分なため、国からの支援を受けることもできません。
このように、貧困問題は個人の力で解決することが難しく、一度陥るとなかなか脱することができないことがわかります。
貧困問題で苦しむ人を支援するサービスとは
世界各国には、貧困に陥り人道支援を必要としている人々が多く存在します。そのような人々を支援するには、お金による寄付やボランティアの他にも物資の提供・寄付などの方法があります。
例えば、私たちが手軽に貢献できる支援サービスの1つに、「もったいない運送」があります。「もったいない運送」とは不用品の回収サービスで、利用するたびに次のような4つの社会貢献につながります。
- リユース・リサイクルによる環境保全
- 途上国での修理依頼による雇用創生
- 途上国へ100リットルの水をきれいにできる浄化剤の寄付
- 国内の障がい者の雇用創生
もったいない運送では、自宅やオフィスの不用品や過剰在庫の処分に関するご相談もお受けしております。ぜひお気軽にお問い合わせください。